才能のあるあなたへ

独り言の延長線上です

呪い

先日母にミスiDのカメラテストで起こったことを改めて事細かに話した。今でこそ笑い話にできるな、と思い、わたしは饒舌だった。ミスiDを今年で終わらせるとか講談社潰れろって言ったんだ、と言うと大爆笑してこう言った。

「本当にパパとそっくりね」

 

生まれてからわたしは「父にそっくり」と言われてきた。顔も性格も。大きくなってから身長が伸びなかった時も、パパの遺伝だね、と言われた。血液型も同じだし、得意科目も同じ。違うところは性別くらいだと思う。父は無口で感情が表情に出ないので何を考えているかわからない。だから今も父が怖い。怒られた経験はほとんどないのに、怒られる、怒られてはいけない、と怯えている。むしろ昔はよく喋っていたからか、そこまで恐怖していなかったが、高校生になってから全く話さなくなってからの方が恐怖が強い。理由ははっきりとはわからない。が、わたしに似ているからかもしれない。わたしは父に似ていると言われることに対し、複雑な気持ちでいた。父はポロリと口に出す言葉が面白い。ギャグセンスがとびきり高い。だから家で面白いのは父、その次がわたしだと言われる。父に似て面白いと言われるのは嬉しい。しかし父は正義感が強く、何かトラブルが起きるとすぐ他人と揉める。口が達者というか、正論がズバズバと通るというか、口論した相手を打ち負かしてしまう。そういうところが似ている。そこは嫌いだった。嫌いなところは挙げたらきりがない。わたしはわたしが好きではない。つまり似ている父のことも嫌いな部分は多い。

ある日わたしが自分のことを理解してくれる人なんていないと泣いたことがあった。その時、母はわたしはあなたのことはわからないと言った。なら父に似ているわたしは父なら理解してくれるのか?と問うと、泣きながら父の昔話を教えてくれた。20年間母が内緒にしていた、最低な父の話だった。これは墓場まで持っていくので言えないが、最低な話だった。

「でもね、ママはパパのこと嫌いになったことないの。何があっても何をされてもパパが大好きなの。だからね、ふーちゃんも絶対わかってくれる人が出てくるから。大丈夫、大丈夫よ」

そう言って泣いてくれた。それを信じて生きている。

母が言う「パパにそっくり」は呪いだった。わたしが生きづらい理由の一つだった。でもそれを言い訳にして生きるのはやめた。呪いを抱えて生きる。呪いを解く人はいつか現れると信じている。